大阪のマッサージ店の思い出

大手携帯電話会社に新卒として入社したが、最初に行った仕事が電話営業、すなわち「テレアポ」だった。

電話会社に入ったにも関わらず、市外局番の事もわかっていなかった。

配属された支店は横浜だったにも関わらず、初めて取ったまともなアポイントは大阪のマッサージ店。

当然大阪支店のメンバーが行くものだと思っていたが、なんと上司は私に行く様に指示。

初めての営業が初めての出張。

しかも土地勘も全くない場所。

とはいえ上司の命令のため、右も左もわからないまま改めて訪問日時を決めて向かう事に。

新幹線に乗り、在来線を乗って着いた場所は道頓堀に近い商店街を抜けた裏通りのビル。

階段で3階に上がるとそのマッサージ店はあった。

失礼します、と言って中に入ると意外に清潔感があって、迎えてくれた女性の方も服装や佇まいも上品だった。

何か如何わしい事を自分で勝手に考えていたのだろうか。

訪問の趣旨を告げると、店長を呼んでくれた。

店長は若く、清潔感のあるEXILEのメンバーのような顔立ち。

新人の私の緊張を察したのか、上着を脱いで楽にする様に言ってくれた。

改めて、研修で学んだ様に丁寧に営業トークをしたものの、私の話はまさに台本通りで、聞いている方はつまらなかったはずだ。

それでも、時間をかけて聞いてくれたのは嬉しかった。

結局は契約には至らなかったものの、若き日の私は何事も先入観やイメージで決めつけてはいけないな、と思ったのだった。