村上豊彦猫カフェにて

私、村上豊彦は、その日朝からうきうきしていた。
以前からずっと気になっていた猫カフェについに行く日がやってきたのである。
大学入学を機に親元を離れ、一人暮らしを始めたアパートでは、ペット飼育を禁止されている。
村上豊彦は日頃、大学と居酒屋でのバイトのかけもちで、わりと忙しい日々を送っていた。
充実した毎日だが、ふと癒しが欲しくなった時に思いついたのが猫カフェだった。
今日は大学もバイトも両方休みである。
早めの昼食をコンビニ弁当で簡単に済ませ、いざ目当ての店へと向かった。
店はすぐにわかった。
5階建てのビルの入口の階段に可愛らしい子猫のポスターが貼ってあった。
猫カフェはビルの2階にある。
村上豊彦は胸を躍らせ階段をゆっくりと上がった。
玄関でインターホンを鳴らすと、可愛らしい女性店員が出迎えてくれた。
店内は中へ入ると普通の居間が2部屋あり、ソファーやテーブルでゆっくりお茶を飲んだりしてくつろぐことができるようだ。
若い女性2人組の先客が、フローリングで猫を膝にのせ、なでながら何やら楽しそうに会話していた。
日当たりも良くゆっくりした時間が流れている感覚を覚えた。
とりあえずコーヒーを注文し、ソファに腰を下ろす。
1匹の黒猫がキャットタワーの陰からじっとこちらを伺っている。
村上豊彦は、優しい気持ちで黒猫の目を見つめ「おいで」と声をかけた。